☆顎関節症とはどのような病気か?
顎関節症は以下のような四大自覚症状が起こり、しかも炎症、腫瘍、骨折、奇形などでない疾患です。
どれか一つの症状で起こることもありますが、二つ以上の症状が重なって起こることもあります。
1.顎を動かすと「カクンカクン」「ジャリジャリ」「ミシミシ」と雑音がする。
2.顎の関節や筋肉が痛む。
3.口を大きく開けられない、口が開きにくい、口を開くときにスムーズでない。
(男性で開口域50mm以上、
女性で40mm以上あれば正常で、
35mm以下は 開口障害です。
大人とこどもの開口域に大きな差はない)
4.顎が動きにくい。
顎の関節と筋肉の症状として現れるほか、偏頭痛や耳鳴り、 肩こりなど、
一見顎関節とは関わりのない症状が随伴することもあります。
☆顎関節症はなぜ起こるか?
顎関節症は一般的に一つではなく、複数の問題が重なったときに起こると考えられています。
たとえば、
生活リズム、食習慣、全身の健康に問題があり、 これに噛み癖、歯ぎしり、ストレスなど、
顎の関節や筋肉が弱い、噛み合わせや姿勢が悪い、歯並びが悪い、
抜歯後に新しい歯を入れずに長期間放置した時などに起こりやすいです。
これらの問題がいくつか重なっているとき、特に、
あくびや硬い物を噛んだといったチョッとしたきっかけや、
あるいはストレスや顔面の外傷が原因となって起こることもあります。
☆顎関節症の原因はどのようなものか?
顎関節の解剖学的異常、咬合異常、異常習癖の3つに大別できます。
1.顎関節内の異常
顎関節は下顎頭と下顎窩(かがくか)、
そしてその間に介在してクッションの役目をする関節円板や結合織と滑膜からなりたっています。
顎関節症としてよくみられるパターンは、
関節円板の位置がずれ、 下顎の動きが制限されて、カクッカクッと音がし、
痛んだりするタイプです。
また、
円板の位置や動きに異常がなくても、 滑膜や円板に損傷があり、
痛みや運動障害がみられることもあります。
2.噛み合わせの異常
歯列不正などで噛む位置が安定しない場合や、
う歯や歯周病などで奥歯が無いままでいると、
噛む位置がずれ下顎骨の位置もずれることがあります。
その際、 顎関節に負担がかかり、
顎関節症状を生じるます。
一般的にこの原因が比較的多いようです。
3.異常習癖
特に歯ぎしりや歯をくいしばる習慣のある人などでは、口を開け閉めするときに動く筋肉
(咀嚼筋など)に持続的に過度の緊張が加わり、顔面の筋肉靭帯に痛みが起ことがあります。
☆顎関節症の5つのタイプ
顎関節症は次の5つのタイプに分類されています。
1.筋肉(咀嚼筋)の異常によるもの
歯をくいしばったり、歯ぎしりなどによって咀嚼筋の緊張が長く続いた場合に生じる
こわばりや痛み
2.外傷性異常によるもの
噛み合わせの異常による持続的な外傷や下顎を強打して、
関節の組織に損傷が生じ痛
みが起こるもの
3.関節円板の異常によるもの(顎関節内障)
関節円板の位置がずれたり、変形することによって、関節部の雑音や痛み、
開口障
害などが生じるもの
4.変形性関節症
顎関節に強い負荷がかかり、加齢もあって、関節の骨が変形し痛みが生じるもの
5.その他
1~4のいずれにも属さないもの。不安やストレスによって起こるものをも含む。
多いのは顎関節内障です。普通は私たちが顎を動かすと、関節円板は下顎頭といっし
ょに動きますが、
関節円板の後部組織が伸びてしまって、
関節円板が前にずれたままの状
態になってしまうことがあります(関節円板前方転位)
。
そうなると、口が開けにくくなり、
口を開けようとすると下顎頭が関節円板の下に
もぐり込むような形になって雑音や痛みが生じます。
☆顎関節症の検査法
顎関節症の診断は、問診や視診のほか、噛み合わせの検査やX線検査を含めさま
ざまな検査がありますが、
X線などの画像検査が比較的効果的です。
X線検査は関節の骨形態を調べるたり、関節円板のずれを確認するために行います。
☆顎関節症の治療法
顎関節症はさまざまな原因から症状を引き起こすため、保存的治療法や手術療法
などいろいろありす。
当院では、まず、多くの場合セルフ・ケアや保存的治療法が選択します。
1.セルフ・ケア
患者さん自身が日常生活のなかで自己管理を行うことにより、症状の発現・
増悪
を防ぎ治癒を促すことと、
積極的に毎日の運動療法などで治癒力を高めようとする家庭
療法が含まれます。
比較的軽度であると診断された場合には顎に負担をかけず、
生活リズム、食習慣、姿勢を正
しくし、ストレスを和らげるとそれだけで症状が改善することがあります。
これらはそれぞれの患者さんによって異なりますが、当院ではカウンセリングしな
がら運動療法などの指導を行います。
2. 保存的治療法
患者さんの症状にあわせて、薬物療法(痛みを鎮めたり、筋肉の緊張を柔らげたりす
る)、開口訓練、低周波理学療法、スプリント療法などの治療を行います。
スプリントとはスポーツ選手が用いるマウスピースのようなもので、
いろいろなタイプのもの
があります。
目的は顎の位置と噛み合わせの改善を狙ったもので、
顎の筋肉をリラックスさせ、顎の位
置のアンバランスさをニュートラルな状態にすることで治療効果を期待します。
噛み合わせが悪いなど解剖学的に問題があれば、
歯列矯正治療や補綴治療(金属やセラミ
ックなどをかぶせて形態回復をはかる治療)
による咬合の再構築などを行うこともあります。
3.前手術療法:保存的治療法と手術療法の中間的療法
上記療法効果が十分に現れない場合は症例では、顎関節の中を洗うことにより開口
障害や関節疼痛をとることができます。
当院で作成したマウスピース

4.手術療法
さらに重度の症例では、
関節内の癒着を剥離する関節鏡手術や関節円板をとり除いたり
する関節開放手術があります。
また、
不良な噛み合わせを合併している場合は、
上下顎骨を切りバランスよくする顎矯正
外科手術も施行します。
これらは入院治療が必要です。
☆セルフ・
ケアのいろいろな方法
顎関節症の予防や症状の緩和に有効なセルフ・ケアの方法をご紹介します。
ただし、歯科医の診断、
カウンセリングを受けてから正しく行ってください。
1.長くかまなければならないもの、かたい食べ物は控えます。
また、
歯をくいしばった状態にならないよう気をつけます。
2.大きく口を開けないようにします。あくびをする時もこぶしを下顎にあて、
軽く押し上げ
るようにすると口が開きすぎません。
3.
筋肉の慢性的な痛みや緊張には温めたタオルなどで温湿布すると症状が緩和します。
逆に関節の急な痛みには冷湿布が効果的です。
4.咀嚼筋の中の咬筋や側頭筋を押してみて、
こりを感じるところを中心に円を描くようにマッ
サージをすると痛みが軽減されます。
5.あごを突き出していないか、猫背になっていないか、姿勢をチェックして、
いつもよい
姿勢を保つようにします。
6.うつ伏せや横向きで寝ると、
顎関節や首の筋肉に余分な負担がかかりやすくなるので
、
できるだけあおむけで寝るようにします。
7.強い痛みのない時は、口をゆっくり開け閉めしたり、
あごを側方に動かしたりする顎の
運動を1日に何回か行います。
8.ストレスを意識したら、
仕事や家事の手を止めてリラクゼーションを心がけることも大切で
す。
9.週に2~3回ウォーキングや水泳などの全身運動を行うと、
肉体的にも精神的にもよ
い効果をもたらします。